レックは真の紋章が軸になる戦争のたびに天魁星のところに夜這いして、意味深なセリフをひとり吐いていくわけですが、そもそもどうしてそんなことしてるんだろう、とここが出発点でちょっと考えてみる。
昔々、かなりの昔、門の紋章の一族がヒクサクに襲われて、レックナートとウェンディはそれぞれ裏と表を宿して逃げ延びたとあります。
その後数百年を経てウェンディは傾国の王妃として表舞台に上がり、レックナートは相変わらず数度に亘り舞台裏から除き見るように天魁星へ接触します。
自称バランスの執行人として、見届けるという義務感から派生して星をみるようになったと考えるのが自然な気もしますが、常にレックナートって蚊帳の外の人なんですよね。
宿星、天魁星があわられる意味、真の紋章の本質、さまざまなことを知っていながら決して全てを説明しようとはせず、一歩引いた所でただ見届ける。
1ではウェンディとの全面対決の時に異界の門から出てきた招かれざる客をあるべき場所へ引き戻す役は自ら負いましたが、戦争への加担というより自分の紋章へ付随する義務を果たしただけに感じます。
2や3でもユーバーが異界からモンスターを呼び出しますが、全く関与してきません。
対の門から出てきたものだけに対応する態度から言って、天魁星の枕元に立ちながら力を貸す気はさらさらないと考えてよさそうです。
そもそもバランスの執行人とはなんぞやと言いたい。
ユーバーが世界は秩序に傾いているとか、混沌を欲するとか言ってますが、この紋章バランスのことなのかと首傾げ。
そうすると3でルックを止めなかったのは、止められなかったとか、本人の意思を尊重したいとかではなくて、意図して止めなかったのではないかと新たな仮説が浮上してきます。
ユーバーが秩序に向かっていると評した世界でバランスを取ろうとすれば、当然混沌(争い)が必要になります。
レックナートには火種が必要だった。
ただし、自身が火種を作るわけにはいかない。
彼女は常に傍観者で第三者でないといけないのだから。
彼がどういう宿命を背負い、どういう運命を辿るのか知っていながら止める事はしなかった。
バランスの執行人という重い役割の為に。
そう考えると3エンディングのルックとセラの魂の光を憂いを帯びた顔で見届けるレックナートの心情がガラリと印象を変えます。
愛弟子の過酷な運命と非情な結果を悲しみと、真実紋章のしがらみから開放された彼への祝福がない混ぜになった師匠の顔から、全て分かっていながらバランスを保つ為に弟子を駒のように扱い、止めるという選択肢も握り潰した女性の内に向かう嘆きに思えてきます。
ルックの運命を嘆くのではなく、自らの宿命に嘆く。
もしかしたら、レックナートは宿星になりたいのかもしれない。
彼女の負わされた執行人としての見届けるという義務は宿星になったときに開放されるのかもしてません。
争いが静まるまでの不老の彼女からしたらほんの一瞬のできごとかもしれませんが、そうなる事を望んで、期待して星を見ているのだとしたら。
今度の星の巡りに選ばれているかもしれない。天魁星にともにあることを望まれるかもしれない。望んで欲しい。
それが彼女の願いで、天魁星に接触する理由だとしたら。
バランスの執行人と自ら名乗り、実際に手を下す事がない(下せない?)のなら、別に天魁星に接触する必要性なんてないんですよね。
意味深な事を呟いて、天魁星を誘導しなくとも彼らを支える宿星がいるんだから。
宿星に選ばれたいレックナートと、彼女を必要としない天魁星たち。
世代を超えても埋まらない距離。
本当は宿星に選ばれたがっているとしたら、あの全てを教えてくれない意味深っぷりは選んでくれなかった天魁星へのささやかな意地悪とも解釈できますね(笑)
ふとルックの紋章を砕くという意思は彼女の願いでもあったのかも知れないと思ったり。
バランスの執行人といえど人間な訳ですし、長い年月を生き、争いを見、バランスの名の下に犠牲にしたもの、利用したものがあっただろうし、幾度となく期待しては裏切られれば、いくら達観していようと疲れることってあると思うのですね。
ルックの紋章からの開放は、彼女にとっては執行人からの開放だったのなら、ルックとセラの光を見る憂いは彼らの魂への慈しみからきたものではなくて、まさに自身が開放されなかった失望に似た悲しみなんだろうな。
キャラクターの人となりが溢れる幻水において、彼女は終始人間味がないのが私の引っかかってるところです。
邪険にするでも、蔑むでも、慈しむでも、楽しむでもなく、なんの感情も込めずにただ淡々と義務をこなす姿はなんか浮いてるんですよね。
その点、ゼラセは分かりやすい。
行動理念も、他に対して抱いている感情も、思想も。
レックナートの人間性を星を見る理由から掘り起こしてみて分かった事。
精神的に少し弱い女性。それでも、生真面目さから役を自ら放り出すこともできない人っていうのがこの仮説においての最終結論。
幻水的にはもう少し芯の強さが欲しいので、もうちょっと煮詰めないと人格を作るのは難しい所ですね。
さすがオババ様とどっこいの長老組だけあって一筋縄ではいかないな。
レックさんはヒクサクと絡めたり、ウェンディを摘んだりしつつ3後日談に繋がる大まかな流れは考えてるのでいつか形にしたいです。
しかしレックさんの話というより、ヒクサクと2主を絡める為の前提の話なので、レックさん出てくる割にここでも脇役です(笑)