*王子が女王騎士長です。
*トーマが女王騎士です。
*時間軸は2戦後です。
*例えばこんなハジメシテ。の続きです。
それでもよろしければどうぞ!
パチパチと小枝がはぜる音に少年は目を覚ました。
ぱちり、ぱちりと瞬きを繰り返し、横の人影に気づいた。
「気分はどうだ?」
ジンが少年の顔を覗き込むと、「だいじょうぶ」と返答がある。
少年は起き上がってジンに向かって座りなおした。
状況がいまいち把握できていないのか、頭をガシガシさすりながら男の顔をじっと見てこてんと首を傾げた。
すなわち『誰?』
「あぁ、俺はカイル。で、あっちにいるのがトーマ」
指された方を見やれば、少し離れた所でトーマが火に薪をくべている。
「はじめまして?」
自信がないのか相変わらず首は傾げたままの少年。
幼い仕草をジンは微笑ましく見守る。
「うん、初めまして。君の名前は?」
「あー・・・・・・」
「ん?」
目線を彷徨わせる少年の返事を辛抱強く待つ。
と、少年はジンを目を合わせ困ったように眉を寄せてぽつりと一言。
「だれ?」
いや、こっちが訊きたい。
「どうしよう、なんか面倒なもの拾った気がするんだけど」
「責任もって閣下がなんとかしてください」
「なんとかってどうするんだよ?!私は医者じゃないし」
「なんとかです。閣下の勘によると警戒が必要な人間ではないのでしょう?」
「そうだけど!・・・いや、それよりもしかしなくても記憶喪失ってやつだよね、あれ」
「ええ、そうであって欲しくはないですが、多分きっと恐らく間違いなく記憶喪失でしょうね」
「記憶喪失って頭を打ってなるやつだよね」
「俺もそう記憶しています」
「よし、ここは一発殴って」
「やめてください!閣下が殴ったら記憶が戻るどころか、意識すら永久に戻ってきません!」