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2王様エンド前提小話











「そうだ、約束をしようか」

何の?と視線で問いかければ、クツクツと楽しそうな忍び笑いが聞こえた。

「僕が一方的にする約束。望もうが望むまいが違えることのない約束を」

口の端をにやりと上げて、獰猛な瞳が獲物を捕らえようとするように静かに光る。
ぞわりと背が粟立つ。
あぁ、止められぬのだなと悟って御意にと頭を垂れた。

 

 

 

 


あれから何年が経ったか、ある日突然彼は消えた。
一方的な約束の通りに。
豪奢な部屋は片付けられ、整理された書類が机の上に纏めてあった。
期日は今日のものから向こう1年のものまで必要と思われるものはすべて揃っている。
あぁ、行ってしまったのだなと実感した。
ひとつだけ残された彼の私物が妙に切なくて、せめて挨拶くらいして行けといもしない相手に愚痴をこぼす。
書類の端が一様に染みがついているのに気がついてパラパラと捲ってみれば、染みで出来た猿がこちらに気づいて曲芸を披露してきた。
逆立ち、宙返り、皿回しと芸達者な猿が次々と演目を変え、最後にバイバイと言うように手を振って退場した。
まるでそれは彼自身のようで、これが彼なりの別れの挨拶なのだろうと呆れた。

「馬鹿者・・・」

彼に仕えてから口癖になってしまった悪態を声に出すと、ポツリと水が零れた。
仕えるべき主を失った。
言いようのない喪失感に天井を仰ぐ。
眉間を摘んで涙を堪え、主のいない大きな机に向き直る。
手にした書類を元の場所に戻し、最敬礼をとる。
深く深く頭を下げ、今はいない彼に最大限の敬意を示す。


どうか、彼の行く末に幸多からんことを


気がすむまで垂れていた体を起こし、伏せていた目を開けると、インク瓶の下に小さなメモが挿んであるのに気がついた。
折りたたまれたメモを広げると、そこには慣れ親しんだ彼の字で短い文が綴ってあった。


『ちょっと出かけてくる。長くても1年以内で帰ってくるから!』



 

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「あるぅ」
「ひんけつ♪」
「森のな」
「かんちょう♪」
「くまさん」
「にんにく♪」
「出会っ」
「たんそく♪」
「「花咲く森のみ」」
「キュオン」
「ムムー♪」

陽気な歌声が森にこだまする。
合唱を楽しむ2人と2匹に頭が痛い1人。
尊敬する上司が楽しげに浣腸♪と歌えばそれも仕方ない事だろう。
しかし、青年の頭痛の元はそれだけではなく。

「「くまさんに出会っ」」
「ムム」
「キュオーン♪」

最初は確か2人と1匹だったはずだ。
間違いなく。
いまだズキズキする後頭部を擦りながら、トーマは視線を赤いマントへ目をやった。

「あははームクムクは体当たりだけじゃなくて歌も上手いなー」
「ムム、ムムムー」

あの誇らしげに胸を張るムササビが加わるまでは確かに2人と1匹だった。
家に帰ってみると言うハルについて、ぞろぞろと3人と1匹で歩いているところへどこからか降ってきた。
べいんと。
トーマの後頭部に。
本日の落下ブツその2である。
いろいろな八つ当たりも込めて退治すべくトーマが愛刀に手をかけると、ムササビは2度目の滑空の後ハルに抱きついた。
フェザーの時と同じく笑い声を上げるハルに、どうやら彼のオトモダチだと悟る。
やり場のなくなった怒りは宙を舞いなんとも言えない複雑な表情を浮かべるトーマに、呑気な上司は「あの毛玉かわいいね」とさり気なく失礼な感想を漏らした。
そんな訳で、只今3人と2匹でハルの家へと向かっている。
おそらく目的地と思われる街の門が遠くに見えているから着くのも時間の問題だろう。

「誰が待ってるのかなー?」

あははーとどこからか拾ってきた枝をぶんぶん振りながら、どこまでも能天気な彼が羨ましい。
その横の神経の図太い上司も。
国の中枢を支えるにはこのくらいの気構えが必要なのかもしれない。
それよりも。
トーマはハルの頭上と右横を改めて観察する。
どう見てもムササビとグリフォンだ。
見間違いようもなく。
なのになんで、

「ムムームムムムムー」
「え、そうなの?」
「ムムムームム」
「そっかぁ・・・フェザーはもちろん一緒だよね?」

なんで、

「・・・キュウン」
「そんな!」
「キュッ、キュォオン」
「むー、そういうことならしょうがないかぁ」

なんで通じてるんだ。
どうやったらその『ム』と『キュオン』しかない鳴き声で意思の疎通が出来るんだ。
何がそういうことでしょうがないんだ、訳分からん。
ちなみに横を歩くジンは分かっているのかいないのか、にこにこと笑うだけである。
仕方ないと、ひとつ頭を振りトーマは前を行くハルに声をかけた。

「何かあったのか?」
「うん・・・フェザーとムクムクは街の外で待ってるって。何も知らない人から見たら自分たちはただのモンスターだからだって・・」
「そうか。ま、俺たちはついて行くから安心しろよ」

な、と安心するようにジンと目線を交わしてハルに笑いかける。

「ありがと」

帰ってきたにゃはーと気が抜けるような笑顔が微笑ましくて、2人は目を細めた。

*例えばこんなハジメマシテ。その3です
*時間軸は2戦後
*王子が女王騎士長
*トーマは女王騎士
*2主は国王エンド
*しかも記憶喪失

以上が許せる方はどうぞ!






ハル。
それはこの国では一人の人物を連想させる。
過去の英雄の息子にして現デュナンの英雄。
新同盟軍軍主にして、若き国王。
始まりの紋章を宿した不老の王。
其は鬼人の如き強さを誇り、同時に聖母の如く慈愛に満ち、全てを守る強靭な盾となったと言う。
いきなり降ってきた少年が国王と同じ名前であるからといって、同一人物とみるのは早急と言わざるを得ないが、二人には確信があった。
この国の査察を始めて各地で内緒話のように聞いた国王の噂。
もともと一般人であった王は民に気さくで、宰相の目を盗んでは旅人の姿で街に現れるという。
それは帰路に着く途中のグリンヒルの学生だったり、カラヤからの商人だったり、果ては散り散りになった家族を探して流れて来たという少年を名乗っていたり、とそのレパートリーは止まることを知らない。
そのどれであっても、茶色い髪で少し小柄などこにでもいそうな気さくで明るい少年で、不思議と安心できるような雰囲気の持ち主だったと逢った者たちは口を揃える。
そう言えばどんな時も素手を晒さなかったが、そんな些細なことなど気にならなかったとも。
そして少年が現れる前後に、町から少し離れた森で必ず1頭のグリフォンが目撃されている。
背中に茶色い髪の少年を乗せたグリフォンが。
あんたたちも運が良ければそのうち逢えるだろうよ、と何処かの酒場で誰かが言っていた。

それを思い出しながら『ああ、確かに』とジンは納得した。
何かと気遣いが必要な王宮で育った自分が何の根拠もなく、敵ではないと認識したのも彼だったからではないかと。
ハルに気取られないように右手に意識を集中させる。
無意識に抑制してしまっているのか常人には気づけない程微かな紋章の気配を感じ取れるだけだが、その僅かにしては異様な気配に確信を持つ。
彼が国王・ハルであると。
トーマに頷いてみせると、ごくりと喉を鳴らす音が聞こえた。
当の本人はと言えば、呑気にフェザーと戯れている。
記憶がないからこうなのか、それともいつもこうなのか。
後者だと思ってしまうのは、目の前に王子のイメージを見事にぶち壊してくれた人間がいる所為か。
トーマはそう遠くはない過去に記憶を飛ばす。
現実逃避を図るトーマの頭をハル達から見えないように素早くはたいて現実に引きずり戻す。
即ち、こんなことで現実逃避する男にリムはやれないよ?である。
王子のイメージぶち壊しその1、もといファレナ名物、重過ぎる兄妹愛。
繊細な顔立ちからは想像もできない力ではたかれたトーマは、ともすれば突っ伏しそうになるのを気力だけでじっと堪える。
その様子をジンは満足気に見やると、おもむろにハルに問いかける。

「これからどうする?」

この先に待つであろう展開すらも楽しむように、頬笑みながら。

*例えばこんなハジメマシテ。その3です
*王子とトーマが上司と部下で友人以上義兄弟未満
*時間軸は2戦後
以上を踏まえてどうぞ!






火打石、小型のナイフ、少量の塩と胡椒、多過ぎも少な過ぎもしない程度の金、それらが入っていた小振りのポーチ、くたびれてはいるが毛布代わりにもなりそうな少々上等なマント、そして、

「笛?」

少年がうーんと1人首を捻っている間に水面下で交わされたやり取りで、身につけているもの、所持品に手がかりがあるかもしれないとひとまずの結論を出した。
が、何ら身分、出身の分かるものは持っておらず、代わりに謎ばかりが増える。
恐ろしく旅慣れたと言うべきか、恐ろしく世間知らずだと言うべきか、まずそこで悩む。
極めつけは大事そうに首から下げていた笛である。

「なんか犬笛に似てるね」
「俺には犬笛そのものに見えるんだけど」
「吹いてみよっか?」

返事も待たずに少年が思いっきり吹いた。
が、音はしない。

「やっぱ犬笛?」

首を傾げる3人の耳に森の生き物が騒ぎ出す音とバサバサという羽音が届く。
それにつられて空を仰ぐと、1党のグリフォンが3人を目掛けて滑空をしていた。
つい反射でその場を離れるジンとトーマ。
その場で座り込んだままの少年に気づくと、はっと息をのむ。
危ない!と発したのはどちらか、少年はグリフォンの影に消えた。
トーマが手に馴染む愛剣をぐっと握りこみ駆け出す。
二歩目を踏み出そうとして、勢いが急激に落ちトーマの回りには戸惑った空気だけが残った。
グリフォンから小さいながらもクスクスと笑い声が辺りに響いた。

「あはははは、くすぐったいよ。やめろってば」

まるで猫のように頬を擦り合わせるグリフォンに、少年はやめろと言いながらも羽を梳いてやる。
取り越し苦労にトーマがガックリと肩を落とすと、ジンはそっと肩を叩いた。

「手がかりその1ができたね」

のん気な言い草に、トーマは額に手をやると今度は小さくため息をついた。

 

「で?」

たくさんの質問が込められた一文字を受け、少年は嬉しそうに答える。

「うん、フェザーが言うには僕の友だちみたい」
「フェザー?」
「グリフォンの名前」
「思い出したのか?」
「いんや、今教えてもらった」
「言葉が分かるの?」
「あー、なんとなくは」
「じゃあさ、自分の名前聞いてみたらどうだ?」
「あ、そっか」

すとんと納得すると、少年はグリフォンに向き直りしばらく多分会話していたかと思うと、すぐに振り返る。

「ハルって名前だって」
「ハル・・・・・」

記憶を失う前の友が傍にいるからか、幾分安心した顔でハルは笑う。
それとは対照的に何とも言えない顔で視線を交わすジンとトーマ。

まさかとは思いますが・・・
多分そのまさかだね

現実逃避をしたくなる頭をぎぎぎと動かし、もう一度ハルに視線を向ける。
笑顔でフェザーとじゃれる姿に『リムが見たらなんて言うだろうか』と遠い故郷にいる妹に思いをはせた。


*王子が女王騎士長です。
*トーマが女王騎士です。
*時間軸は2戦後です。
*例えばこんなハジメシテ。の続きです。

それでもよろしければどうぞ!






パチパチと小枝がはぜる音に少年は目を覚ました。
ぱちり、ぱちりと瞬きを繰り返し、横の人影に気づいた。

「気分はどうだ?」

ジンが少年の顔を覗き込むと、「だいじょうぶ」と返答がある。
少年は起き上がってジンに向かって座りなおした。
状況がいまいち把握できていないのか、頭をガシガシさすりながら男の顔をじっと見てこてんと首を傾げた。
すなわち『誰?』

「あぁ、俺はカイル。で、あっちにいるのがトーマ」

指された方を見やれば、少し離れた所でトーマが火に薪をくべている。

「はじめまして?」

自信がないのか相変わらず首は傾げたままの少年。
幼い仕草をジンは微笑ましく見守る。

「うん、初めまして。君の名前は?」
「あー・・・・・・」
「ん?」

目線を彷徨わせる少年の返事を辛抱強く待つ。
と、少年はジンを目を合わせ困ったように眉を寄せてぽつりと一言。

「だれ?」

いや、こっちが訊きたい。



「どうしよう、なんか面倒なもの拾った気がするんだけど」
「責任もって閣下がなんとかしてください」
「なんとかってどうするんだよ?!私は医者じゃないし」
「なんとかです。閣下の勘によると警戒が必要な人間ではないのでしょう?」
「そうだけど!・・・いや、それよりもしかしなくても記憶喪失ってやつだよね、あれ」
「ええ、そうであって欲しくはないですが、多分きっと恐らく間違いなく記憶喪失でしょうね」
「記憶喪失って頭を打ってなるやつだよね」
「俺もそう記憶しています」
「よし、ここは一発殴って」
「やめてください!閣下が殴ったら記憶が戻るどころか、意識すら永久に戻ってきません!」

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